繁華街と住宅地の区別がつかない人たち
東京人生ゲーム:25歳総合商社勤務の男が選ぶ街「渋谷」。高校時代から感じ続けた敗北感。(1/2)[東京カレンダー]結局レストラン紹介が目的(一応)なので、価値観が画一的でおよそ生活感のないポエムにしかなっていない。この手のメディア関係の人は、まず繁華街と住宅地の区別をつけられるようになった方がいいよ。
2015/11/15 16:28
中沢明子/速水健朗 “何もない”埼玉にある「マス消費」と「高感度消費」の絶妙なバランス<「埼玉」からみえる地方と消費のゆくえ> - 幻冬舎plus
- [都市]
この人たちは都市や郊外というより、繁華街と住宅地の区別がついていないのでは
2015/11/04 13:19
このようなブックマークコメントをしましたが、 どうもこの手のメディア関係の人たちの中には、繁華街と住宅地の区別がきちんとついていない人が大勢いるような気がします。 そして、おそらくこのような認識を持ってしまう人のほとんどは単身者でしょう。
単身だと、確かに繁華街と住宅地の差はそれほど意識しなくてもいいかもしれません。 繁華街とはいっても、単身者向けの物件はむしろ郊外の住宅地より充実していることが多く、 広さなどに目をつぶれば家賃もそれほど高くなるわけではないでしょう。 それであれば、職場にも近く、遊ぶ場所も豊富な繁華街の近くに住むことには、 それなりに合理性があります。
ただ、家族を持つとなると、話はかなり変わってきます。 家の広さによる家賃の上昇や、子どもの教育などを考えると、 繁華街の近くに住むことの優位性が薄れてくるわけです。
しかし、東京圏において繁華街から少し離れたところに住む理由として大きいのが、 東京には大きな繁華街がいくつもあるので、一つの繁華街に住んだところで、 他の繁華街に行くためには、結局移動しなければならないというのが大きいです。
吉祥寺がずっと胡散臭い住みたい街ランキングで一位なのも、 下北沢が若い人に人気なのも 街自体の魅力もさることながら、新宿、渋谷という繁華街に 電車一本で行けるというのが評価されてのことです。
人の価値観の違いとか、生活する上での事情だとかが理解できず、 消費至上主義のような価値観に凝り固まった人が 住む場所としてやたら繁華街を(生活の実感なく)進めているのでしょう。
安易な東京論を述べる人は東京の巨大さを理解しているのだろうか
東京では〜地方では〜みたいな論を述べる人をよく見かけます。 (これとかこれとか)
ただ、こういった論で語られている東京は、おしゃれな繁華街であったり、サブカルチャーの聖地のみを指して東京と言っているだけで、「東京」全体の本当の姿を捉えられていないような気がします。 (だから、「地方」との対比において、的外れな印象を受ける)
そもそも、まず、東京はその面積が巨大です。 東京23区の面積は、623平方kmで、大阪市の3倍近く、名古屋市の2倍近くの面積があります。
もちろん、単に巨大な市であれば、平成の大合併で誕生した岐阜県高山市(2178平方km!)のようなはるかに巨大な市もありますが、ほぼ全域が市街地の市としては、破格の広さです。
なぜこんなに広いのかというと、例によって合併したからです。
現在の区でいうと、千代田区・中央区・港区・文京区・台東区と、新宿区・墨田区・江東区の一部の範囲になります。 現在の東京を象徴する、新宿・渋谷・池袋の副都心は、東京市の範囲に含まれておらず、南豊島郡淀橋町などでした。 当時の東京市の面積は90平方kmほどのようだったので、現在の7分の1程度の広さだったことになります。
それが、1932年、1936年に周辺の市町村を合併し、現在の大きさになったわけです。
こうして生まれた東京都区部には当然のことながら、多くの人がイメージする東京の代表的な街だけでなく、様々な地域があります。 例えば上記の地図でいうと、足立区花畑、葛飾区水元などは、最寄り駅まで徒歩1時間以上かかりそうな地域を含んでいます。
東京だと消耗する〜と語っている人が、この地域のことをよく知っているとはとても思えませんし、新しくできた大田区城南島について詳しく知っている人もほとんどいないでしょう。
地方では東京と違ってマイルドヤンキーが〜みたいなことをいう人もしばしば見かける気がしますが、そもそもマイルドヤンキーの名ずけ親であるヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書) の中で、練馬区大泉町あたりに住んでいて、新宿よりも地元が落ち着いて、仲間と車でお台場に行くのが一番の楽しみという人がマイルドヤンキーとして紹介されていたはずです(随分前に読んだので記憶があやふやですが)。
さらに範囲を東京都全域に広げると、その中には奥多摩や島嶼部も含まれますし、範囲を首都圏まで広げると(そもそもどこまでを首都圏とみなすかにもよりますが)様々な都市や自然環境を持つ自治体を含むわけです。
各地では、それぞれ開発(あるいは過疎化による商店街のシャッター化なども)が行われ、その姿を日々変化させています。 そんな中で、東京(首都圏)全域のことをよく理解している人は、まず存在しないでしょう(自分も含めて)。
東京の真の巨大さは、近隣の住宅地に住んで、繁華街をハシゴしているだけでは見えてきません。
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周回遅れのちきりん
ちきりんが自動運転に関するブログ記事をあげています。 その中で、下記のように書かれています。
鉄道や地下鉄の駅ができたら駅前は急速に開発されますよね?
でも今までは、高速道路の出入り口が作られたからといって、必ずしもその周辺が発展するわけではありませんでした。
この鉄道と高速道路の差は、「誰でも簡単に行けるかどうか」だったんです。
日本は田中角栄先生のおかげで、地方の隅々まで高速道路が整備されています。高速道路の入り口が近いエリアでは、すべての施設の商圏が一気に何倍にも拡大することでしょう。
しかし、先日取り上げた宇都宮インターパークのように、高速道路のIC周辺はずっと前から大きな商圏を持ち、周辺の発展に貢献してきました。
特に、通常のショッピングモールより商圏の広いアウトレットモールは、高速道路の出入り口付近にオープンされることが多いです。
三井アウトレットパーク木更津
しかし、すべてのIC周辺がこのように開発されているわけではないのも事実です。 ただ、鉄道と高速道路の差は、「誰でも簡単に行けるかどうか」などではなく、単純に大手の企業が力を入れて開発したか(もともとそれだけの魅力がある地域だったか)によるところが大きいと思われます。
そもそも、この時勢に鉄道や地下鉄を作る地域は、大都市周辺の開発と人口増加が見込まれている地域であり、主に都市圏の間を通す高速道路とは全く地域事情が異なります。
高速道路と事情が近いのは新幹線の駅でしょうが、新幹線の途中駅が必ずしも発展していないのは周知の通りです。
自動運転の導入によって、IC周辺の魅力が増すのは事実でしょうが、すでに魅力的なIC周辺は開発が進んでおり、魅力のないIC周辺の開発を推し進められるほど強力なものにはならないでしょう。
自動運転技術は社会の価値観を一転させる可能性があるものだと思いますが、その本質は人が運転しなくても車が動くではなく人が乗っていなくても車が動くことにあると思います。 しかし、現在の法律上では前者は導入できなくもないですが、後者については難しいため、自動運転が社会に本当のインパクトを与えられるのはもう少し先になりそうです。 そのあたりのことも、おいおい書いていきたいと思います。
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ショッピングセンターは集積時代へ
いまだにショッピングセンター=イオンのような認識の人が多いように思えます。 確かに、イオンは業界最大級の企業・業態でしょうが、日本ショッピングセンター協会のデータを見ても、ショッピングセンター全体に占めるイオンの割合は、ぱっと見1〜2割程度で、決して多くありません。
ここ10年くらいのショッピングセンターの特徴は、 同じところにたくさん出店して、一大ショッピングゾーンを構築することです。
あらたにららぽーとが開業し、ツタヤ図書館でも話題の海老名がこの特徴に当てはまります。
海老名駅周辺にららぽーと、ビナウォーク、イオン、ショッパーズプラザ海老名などのショッピングセンターが密集しています。 (ちなみに、Yahoo!地図が建物を種類別に色分けしてくれる(商業施設は黄色など)のは非常に見やすいのでGoogleMapより重宝しています)
このようにショッピングセンターを密集させることは、当然食い合いなども発生するでしょうが、総合的に地域の魅力を高め集客力を増すために、様々な地域で見られます。
代表的なのが、宇都宮インターパークです。
宇都宮駅から南に8kmほどの宇都宮上三川IC周辺にFKD、ジョイフル本田を中心にたくさんの大型商業施設が集まっています。 大型店だけでなく、道路沿いにはラーメン店やコンビニなどの小規模な店舗が存在し、さらにその周辺には住宅地が広がっており、新しい市街地の形を作っています。
このような集中は海老名のような駅前、宇都宮のようなロードサイドを問わず色々なところで発生しています。 以下にいくつか例をあげます。(とりあえず関東だけ…)
ショッピングセンター密集地の例
このような状況の中で、イオンだけをとりあげてショッピングセンターを語ってしまうのは、かなり的を外している可能性があります。 このような形態の代表である宇都宮インターパークができてから、すでに10年以上経っているので、このような密集形態ですら、すでに時代遅れなのかもしれません。
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オリンピックで外国人観光客は増えません
決定事項のように「東京オリンピックで外国人観光客が増えるので〜」という文言を見聞きすることが多々ありますが、果たしてこれは正しいのでしょうか。
外国までオリンピックを見に行く人はほとんどいない
2008年には北京でオリンピックがありましたが、日本から見に行った方はどれくらいいるでしょうか。 2016年にはリオデジャネイロでオリンピックがありますが、見に行く予定の人はどれくらいいるのでしょうか。
オリンピックおじさんのような例外的な方もいますが、ほとんどの人は外国まで行って生で見たいとまでは考えていないでしょう。
オリンピックへの関心が高いといわれる日本ですらそうなのですから、他の国から日本へ来る人が大勢いるとは考えにくいです。 特に、ヨーロッパや北米は日本から遠く、オリンピックへの関心も低いので尚更です。 中国、韓国、インドといったアジアの国々にオリンピックへの関心が高い国が多いのは好材料ですが…
オリンピックで外国人観光客が増えると言われている根拠はなにか
なぜ、オリンピックで外国人観光客が増えると言われているか、 官公庁の資料によると、 「開催決定後は、インバウンド需要が長期間にわたって喚起される傾向がある」そうです。
ただ、この資料をみても、オーストラリアは開催決定前10年のトレンドに飲み込まれて、 ギリシャは開催年に観光客数が落ち込んでおり、その効果は疑わしいように思えます。
そもそもロンドンではオリンピック開催中は一般客が観光を避けたため、かえって観光客数が減少したそうです。
世界的に国外旅行者は増加している
そもそも、世界的に国外旅行者は増加しているようです。
特に2003年からはかなり旅行者数が伸びています。 これは、各国、特に新興国の経済発展、LCCにより低コストで移動できるようになったこと、インターネットにより情報が入手しやすくなり、旅行者向けのサービスも充実した、といった要因によって引き起こされたと思われます。
先ほどの図表の、開催決定後は開催決定前10年のトレンドを上回る観光客が訪れる、というのも、この世界的な観光客増で説明できてしまうように思われます。
オリンピックで外国人観光客が増える理由
こちらのブログでも、私がこれまであげたのと同じような理由で、オリンピックは外国人観光客を増やす要因にはならないのではないかと述べられています。
しかし、以下のような理由で結果的に観光客が増えるのではないかと予想されています。
私はオリンピックは日本の観光にプラスになるとは思っているのですが、それはオリンピックが観光客を増やすからではなく、「オリンピックが観光客を増やす」と思う政府や民間が、観光客を受け入れるためのインフラ整備や規制緩和を進めるという、少し皮肉な理由からです。
私も全く同感で、ここ最近の観光客誘致に関する強い関心が、インフラや規制緩和のみならず、人々の意識を変えることで観光客の増加につながると考えています。
現に、直近の訪日観光客数は大きく伸びています。 といっても、その主な原因は円安によるものでしょうが…。
いずれにせよ、オリンピックそのものが多くの外国人観光客を呼び込むことはないでしょうが、今後ますます多くの外国人観光客が日本を訪れるようになるのはほぼ間違いないと思われます。 ともあれ、盛り上げないといけないのはわかりますが、オリンピックに対する期待が過熱しすぎのような気がします。観光客だけでなく、先日話題になった4万人のボランティアで働くソフトウェアエンジニアが必要という記事も、オリンピックに託けて以前から考えていた自分の主張をしているだけのように見えます。
こういった言説に惑わされずに、本当の需要を見極められるようにしていたいです。
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